新宿駅東口、今の小田急百貨店の場所に、その餃子屋はあった。
当時高校生だった兄に連れられて、上野の博物館へ行った、恐竜や、太古の化石を夢中になってみた。
夕方になり、新宿で寄り道をして食べさせてもらった餃子、旨くてうまくて、何皿もおかわりをした。
しかし、兄は何故か殆ど食べずに、時計ばかりを気にしていた気がする。
夜遅く、家に帰ると、家の中は空っぽだった、箪笥や冷蔵庫、ステレオやテレビが、みんな消えて無くなっていた、この日、我が家は、差し押さえの執行を受けていたのだ。
小学校2年の僕に、兄は恐竜を見せてくれた。
空っぽの家で、その夜に僕は、探検隊になった夢を見た、兄貴が見せてくれた、精一杯の夢。
2010年6月14日月曜日
学芸会
小学校の四年。
学芸会で演劇をやることになった、走れメロス。
学級投票が行われ、どいうわけか主人公のメロスの役を演じる事になった。
嫌がる振りをしながらも、内心、飛び上がるほどうれしかった、誰よりも父や母に知らせたかった。
放課後の練習がしばらく続き、衣装も父の真っ白いワイシャツをおろして、母が手縫いでこしらえてくれた。
体育館の袖の舞台に立って、全校生を前に、大きな声で演じる、僕のメロスが居た。
カメラマンのフラッシュが焚かれ、どこからか拍手も聞こえた、あっという間の時間が過ぎて、僕は確かにヒーローだった。
明日からの生活の何もかもが変わる気がして、そして、数枚の小さな写真を残しただけで、何も変わらない事を
知った、メロスは友情だけを信じて走り抜いたのに。
テレビの上に置かれた写真立てには、真っ白い衣装の、僕のメロスが一生懸命に走り続けていた。
学芸会で演劇をやることになった、走れメロス。
学級投票が行われ、どいうわけか主人公のメロスの役を演じる事になった。
嫌がる振りをしながらも、内心、飛び上がるほどうれしかった、誰よりも父や母に知らせたかった。
放課後の練習がしばらく続き、衣装も父の真っ白いワイシャツをおろして、母が手縫いでこしらえてくれた。
体育館の袖の舞台に立って、全校生を前に、大きな声で演じる、僕のメロスが居た。
カメラマンのフラッシュが焚かれ、どこからか拍手も聞こえた、あっという間の時間が過ぎて、僕は確かにヒーローだった。
明日からの生活の何もかもが変わる気がして、そして、数枚の小さな写真を残しただけで、何も変わらない事を
知った、メロスは友情だけを信じて走り抜いたのに。
テレビの上に置かれた写真立てには、真っ白い衣装の、僕のメロスが一生懸命に走り続けていた。
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